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執筆者の写真有限会社シューコーポレーション

水物語その117 アメリカのごみ処理事情④

翌日。


午前9時に、ポッタさんの手配通り、市の清掃局長であるエドワード・モーア氏と、

プラント責任者であるロナルド・ディストラー氏のインタビュー撮影がスタートしました。

モーア局長からはEPAの推奨により熱分解炉を導入した理由と経緯を、

ディストラー氏からは装置と技術について順番に話してもらいました。


まずモーア局長のインタビュー概略です。


「ボルチモア市に最初のごみ焼却炉が出来たのは1925年。アメリカ全土では一番早かった。

私が清掃局に入ったのは1934年なので、既に10年が経過していた。焼却炉は現在も使用しているが、やはり何度も修理を繰り返しているため限界がきており建替えを迫られていた。

そのタイミングでEPAから提案がきたため市議会にて受け入れることが決定した。

装置は『モンサント社のキルン型熱分解炉』、総工費は1650万ドル。EPAからの補助金が1000万ドルであった。

1973年の1月に竣工し、完成したのは翌年の12月。

現在はまだ試運転中で、稼働中の排気ガスが州の基準を超えることがわかったため、電気集塵機を新しく設置することとなりいまは停止している。」

続いてインタビューした、ディストラー氏からの技術説明の概略は次の通りです。

「熱分解炉の1日24時間のごみ処理能力は約1000トン。ボルチモア市民が出すごみ、粗大ごみは全て破壊し、熱分解することができる。

この工程により、1時間当たり100トンの蒸気を作り出すことができるため、隣接する電力会社へ蒸気を買ってもらい、その後は地域暖房に活用する。

焼却残渣からは熱で分解しない鉄を回収し、残りの灰はガラス状に固めて土木資材にする。

排煙は水シャワーで洗浄し、その水は処理をして工場内で再利用して外に出さないクローズトシステムになっている。」


2人の撮影を終えた後、撮影隊はプラントへ向かいました。

昨日はその大きさにだけ圧倒されていた装置ですが、導入の経緯としくみを理解するとアメリカの国の意気込みをひしひしと感じました。

堀田カメラマンも同じことを思っていたようで、互いに気合を入れて撮影をしました。


最後に、工場から離れたビルの屋上から広大な工場全体を収録しました。


次は、世界の文化の中心地ニューヨーク市へと向かいます。


プラントの全景写真とシステム図をホームページにアップしておきます。







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