後ろに立っていた二人の作業員は
堆肥場担当の方でした。
初めての視察の時にも彼らと顔を合わせていましたが、
「お礼を言いたいのだそうです」と大村社長から
改めて紹介を受けました。
水つくりを使い始めてから
悪臭が消えたこと、堆肥の質が格段に上がったことが
「とにかく嬉しいです」と伝えてくれました。
従来の方法から何をどのように変えたのかを聞くと、
二人とも首を横に振るので詳しく聞くと
「大きくは何も変えていない」というのです。
これは二人が長年培ってきた技術と水つくりの水が
かけ合わさったことで、自然発酵のための必要条件が
満たされたという証明でもありました。
素晴らしい現場を作られたことへ感謝を伝え
「お礼を言いたいのはこちらの方です!技術に自信を持ってください!」
と握手を交わしました。
次の現場へ向かう車の中で、
技術はもちろんのこと、礼儀正しく誠実さが伝わる二人を褒めると
大村社長は「彼らは本当に良く我慢してくれました。」と
いたわりを表していました。
堆肥つくりにおける自然発酵はなにが難しいのか。
このポイントを改めて説明したいと思います。
まず、何よりも大事なのはC/N比です。
C/N比とは有機物に含まれる炭素(C)と
窒素(N)との比率を表す指標のことです。
この値が低いほど窒素含有量が多く、
値が高くなると窒素含有量が少ないことを示しています。
C/N比の基準値は30。
これを境に高いか低いかを判断します。
値が低い=炭素率が低いと
・微生物の分解が早い
・植物に吸収される形(無機物)になるのが早いので肥料としての効果が高くなる
というメリットがあります。
しかし土つくりにはあまり効果を発揮しません。
反対に値が高い場合は、
・微生物の分解が遅い
・肥料としての効果は遅い
というデメリットがありますが
微生物の栄養となる有機物がたくさん含まれている状態のため
肥料効果は低くても土壌改良には効果的です。
自然の原理とは高い方がより良い、低い方がよくないというものではなく
バランスが大事なのです。
大村産業で作られている堆肥は
炭素が多く含まれる剪定枝や雑草と、
窒素が多く含まれる野菜くずなどの生ゴミを混ぜて作られていますが
原料からC/N比のバランスを計算するのは非常に難しく、
まして、実作業をしながら毎回測ることはできません。
そこで重要なのが実作業者の勘です。
あらゆる作業と実験を繰り返し経験したからこそ分かる勘が
良い堆肥作りの鍵となってくるのです。
この二つが合わさると
水と原料だけで良い堆肥が作れるのです。
生ごみからの堆肥つくりは
自治体でおこなっている小規模なものから
企業全体で大きく取り組んでいたりと
全国各所で行われていますが、
発酵がうまくいっていないところがほとんどです。
そんな中で、発酵温度が80℃にまで達し、
表面全体に放線菌が出ている堆肥を見るのは
私は初めてでした。
ここで出来た堆肥は「土が良くなる堆肥」として
地域内の農家や家庭菜園に使われ
「土が柔らかくなった」「野菜の味が濃くなった」
と感想が集まっているようです。
一連の見学が終わってから大村社長へ
今回の事例を水物語で報告して良いか伺うと
「もちろん構いません。」
と快く許可をいただきました。」
「土が良くなる堆肥」のパンフレットの写真と野菜くずから
堆肥が出来るまでの写真をHP載せていますので
ぜひご覧ください。
大村商事 堆肥リーフレット
▼堆肥化までの作業工程
①学校給食・レストランから収集した野菜くずの中の異物を分ける作業
②下の大型のミキサーに水つくりの水を入れて細かく砕かれる
③ミキサーで細かくされた野菜くず
④別工程で作られた廃木のチップと混ぜられる
⑤収集された廃木
※堆肥化の工程では剪定枝をチップ化したものを使用しています。
⑤細かい野菜くずと木材チップを混ぜて積み上げて発酵させる(水分約60%)
発酵温度は60~80度で放線菌が白くびっしりと生えている。悪臭は全くしなくなった。
完成した堆肥
ゴミ収集車が8台あるが収集後に水で洗うとゴミの臭いがしなくなったとのこと。
工場の水元に設置されている水つくりMZ‐Ⅱ型セット。
大規模な工場や施設(呼び径25mm)の場合に設置をします。
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