top of page
執筆者の写真有限会社シューコーポレーション

水物語その155「土と水の自然学」の取材⑨~農業編~

今回は矢部養豚場の溜池のお話しです。

この溜池は尿を集めて処理する池で、全部で3つあります。

2番目の溜池は1番目の溜池より一段低くなっていて

池の端の溝からオーバフローで流れ込むしくみになっています。

2番目の池の液を汲み上げ、矢部さんが手で温度を確かめます。

  

<2番目の溜池>


<素手で温度を確かめる矢部さん>


 

内水先生も指を入れ「15度くらいですね」と確認してから

3番目の溜池へ移動します。

同じように温度を確認し

内水先生は「液発酵」について説明します。

 

「まともな水を飲んだ豚の体内が

自然のあるべきバクテリアバランスになり、

その糞と尿もそのバクテリアバランスを持って出てくる。

その尿を自然の理想の状態に溜めると、

液発酵が起きて温度が上がる、

有機物は分解され、一部はガス化し、

一部は分離して汚泥になる。

出来た液は生き物にも土壌にも有効な液肥になり、

自然に本来備わっている循環系が実現するのです。

矢部さん、これ農業と組むことを考えませんか」

「そうですね、これまでは臭くて、余計なものと思われていましたから」


<液発酵で液肥が出来る説明をする先生>


 

場面は変わり

今度は3番目の溜池の液肥を豚舎に撒き

豚たちの反応を見ます。

豚たちはギャーギャーと明るく鳴きながら液肥を舐めます。

 

<撒く液肥をなめる豚たち>


 

次に、3番目の池の底に溜まった泥を

乾燥させ土にしたものを豚舎に撒きます。

 

 

矢部さんは土を撒きながら、経過を語ります。

 

「実は、ある会社の薬を使ったんです。

そしたらウジが湧いてウジが湧いて、

何億匹のハエが口の中に飛び込んでくるんですよ。

それで、先生に相談したら、アレを撒いてみたらと言われて撒きました。

そしたらハエが逃げるんですね。餌にたかっていたハエも逃げる。

で、これは本物だわと、腐植でつくる水のことを確信しましたね。

これまで、何をしてやれば家畜が喜ぶかなんて、

一度も考えたことが ありませんでした。」

 

その言葉はおいしそうに水を飲む仔豚の映像に重なります。

 

 

<水を飲む仔豚の様子>


「土と水の自然学ー農業編」は

最後にスタッフテロップが出て終わります。

 

内容のほとんどが家畜の糞尿処理と

悪臭・ハエの話でしたが、

実際に現場で働く人々にとってこの映像は

今まで諦めるしかないと思っていたこと、

資金をかけなければできないと思われていたことが

できるようになると思わせるのです。

殻の固い良い卵ができること。

体細胞の少ない牛乳が採れること。

臭くない豚肉が出来ること。

そして、何より臭いで周辺住民に

迷惑を掛けないですむことができるのです。

実際に、このビデオで紹介した技術を元に

1995年に「BM技術協会」が発足して全国に広がり、

協会員以外にもこの技術を実践している畜産家が

いくつも誕生しています。

 

次からは「土と水の自然学 - 処理編 - 」の話になります。

0件のコメント

最新記事

すべて表示

水物語その167「土と水の自然学」の取材⑳~理論編~

腐植と腐植になる前の物質=が、 濃度の高いを瞬時に分解し、して、 大きな綿のような形をした大きな分子に繋がり、 巨大分子構造を。それが沈んでし、 残りの水を綺麗にすることを観察してきました。   この腐植物質の働きは、電気的なものであり、...

水物語その166「土と水の自然学」の取材⑲~理論編~

内水先生の「土と水の自然学」の現場取材は1988年に始まりました。 それをもとにビデオ作品は翌年の春にまとめられ、 その後も、内水先生の「100対談」というビデオシリーズを制作し続けました。 その中で、腐植によって良質な水ができることは分かりましたが...

水物語その165「土と水の自然学」の取材⑱~理論編~

理論編の最後は、<農業システム>についての提言です。 提言の核になるのは、 家畜の糞と尿から良い堆肥と液肥を作ることです。 白板には以下のような図が書かれています。 先ず、先頭に書かれた<畜産業>から真横と真下に2本矢印が伸び...

Comments


bottom of page